研究課題/領域番号 |
18079014
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研究機関 | 国立情報学研究所 |
研究代表者 |
松本 啓史 国立情報学研究所, 情報学プリンシプル研究系, 助教授 (60272390)
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研究分担者 |
林 正人 東京大学, 特任助教授 (40342836)
根本 香絵 国立情報学研究所, 情報学プリンシプル研究系, 助教授 (80370104)
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キーワード | 量子情報 / 統計推測 / エンタングルメント / 多体系 / 複雑 |
研究概要 |
エンタングル状態の検定を理論的方面から検討した。Chernoff bound、すなわち第一種および第二種の誤り確率の和の減少率の限界を、仮説の片方が純粋状態の場合に明らかにした。また、同様のことをネイマン-ピアソン型の問題設定の場合にも明らかにした。 次に両者を連続につなぐHoeffding boundの検討をしたかったが、これは一体の場合も解けていなかったので、まずは一体の場合を明らかにした。 さらに、実用上重要なベル状態の検定について、実際の実験で可能な捜査の範囲での最適化を考えた。 また、エンタングルメントの暗号論的側面を調べた。すなわち、チートする側が互いにエンタングルしている場合には、一般に古典のプロトコルは破られてしまうことが知られている。我々は、そういった攻撃への対抗手段を考え、その効果を確かめた。 現在、2体の状態のクローニングの問題を漸近論的視点から研究を進めているが、その基礎として、1体の場合の漸近論が必要である。クローニングと深い関係にある推定論の場合、モデルが漸近的に量子ガウス状態モデルに漸近することを用いて理論が構築されている。クローニングも同様の構想を模索しているが、量子ガウス状態のクローニングの一般論がなかったので、まずはそこを解決した。 エンタングルメント自身の研究としては、その定量的指標であるEntanglement of formationの加法性について、あらたな結果をえた。これは、この問題と同等の関係にある、通信路容量の加法性の問題として扱ったが、Conjugate Channelという概念を通じて、従来の議論を統一的に整理し、あらたな結果をえることができた。
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