超伝導集積回路においては、超伝導グラウンドプレーン上に超伝導ストリップラインを配置する高周波導波路が用いられている。その基本構造については1970 年代に解析されており、以来、超伝導集積回路における基礎設計技術として使用されてきた。しかしながら、数千、あるいはそれ以上のデバイスが集積された超伝導回路が実現されている現在においては、信号導波路間、また信号導波路と電源ラインとが近接して配置されてきており、従来用いられてきた基本構造のモデルだけでは対応できなくなっている。また、さらなる大規模集積化においては超伝導導波路を多層構造にする必要があるが、その設計手法についてはまだ確立されていない。そこで本研究課題では、超伝導集積回路設計において今後重要となる多層構造での設計技術、特に単一磁束量子局在電磁波の伝搬に用いる多層導波路の設計技術の確立を目指す。具体的には、次の項目について取り組む。 (1)数値計算による超伝導三次元構造導波路の物理パラメータ(インダクタンス、キャパシタンス等)抽出技法の確立。(実験結果との対比による評価を含む。) (2)単一磁束量子集積回路応用を目指した超伝導三次元構造導波路の設計技術の確立。(既存のプロセス・パラメータを用いた設計と将来のプロセス・パラメータを仮定した設計。 (3)超伝導導波路に左手系要素を組み込むことによる、新たな機能の実現可能性の探索。(3)超伝導導波路に左手系要素を組み込むことによる、新たな機能の実現可能性の探索。
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