局在電磁波配線を利用したSFQ回路を実現する上で重要な課題であるSFQ論理ゲートの最適設計法について研究する。これによりSFQ論理ゲート間を超伝導伝送線路で直接配線するための基本技術を確立し、回路設計の柔軟性を向上させる。研究の後半では、開発したセルライブラリを利用して信号処理回路の開発を行ない、半導体回路を超える性能を有する信号処理回路の実証を目指す。 本年度は、昨年度に引き続きSFQ論理ゲート間を超伝導伝送線路で直接配線するための基本技術を検討した。SFQ論理ゲートを直接超伝導伝送線路に接続する際の問題点は、接続部での電磁波の反射である。本研究では、論理ゲートに対し、既存の超伝導伝送線路用のドライバー/レシーバを接続する方法を用いた。論理ゲートのパラメータの最適化により、より少ない追加接合数で超伝送伝送線路に論理ゲートを直接接続できることを示した。D Flip-Flop、パルス分岐、パルス合流ゲート等の基本ゲートについて、接合の増加量、バイアスマージン、遅延時間の低減効果を検討し、少ない接合数で超伝導配線と論理ゲートを接続し、論理ゲートの伝搬遅延時間を大幅に低減することができた。 更に、局在電磁波集積回路に適したFFTプロセッサアーキテクチャの検討を行った。アレイ状のバタフライ演算ユニットで構成されたプロセッサ構造を採用し、次世代Nb 10kA/cm2プロセスを用いて、約1TOPSのチップ演算性能のFFTプロセッサの開発を行うことを決定した。また、既存のプロセスを用いて4-bit乗算器を設計試作し、最高40GHzのクロック周波数での動作実証に成功した。
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