局在電磁波配線を利用したSFQ回路を実現する上で重要な課題であるSFQ論理ゲートの最適設計法について研究する。これによりSFQ論理ゲート間を超伝導伝送線路で直接配線するための基本技術を確立し、回路設計の柔軟性を向上させる。研究の後半では、開発したセルライブラリを利用して信号処理回路の開発を行ない、半導体回路を超える性能を有する信号処理回路の実証を目指す。 本年度は、昨年度に確立したSFQ論理ゲート間を超伝導伝送線路で直接配線するためのセル設計技術を用いて、基本ゲートのセルライブラリを構築した。NDRO、D2FFを含む7種類の基本セルを設計、試作し、それらのバイアス電流マージンを実験的に評価した。その結果、ほとんどのセルについて、従来のセルと同等のバイアス電流マージンで回路が動作することを示した。これらの基本セルを用いてシフトレジスタならびに半加算器を設計、試作し、実験において十分なバイアス電流マージンを得た。これにより、開発した基本セルは、超伝導伝送線路と直接接続可能であるばかりでなく、基本セル同士も直接接続可能であることを示した。新たな論理ゲートセルを用いることで回路の接合数、面積、レイテンシ、バイアス電流を約25%低減できることが分かった。以上により、提案する回路設計法の有効性を示した。 SFQ回路を用いた高性能信号処理回路の動作実証を目的としてFFTプロセッサ用の4bitビットシリアルバタフライ演算器の設計と試作を行った。オンチップ高速テストにより、16GHzにおける正常動作を確認した。
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