研究概要 |
本研究では,マイクロストリップ線やストリップ線を用いた局在電磁波受動伝送線配線技術の微細化・高度化と、ジョセフソン接合の高性能化により,現在の単一磁束量子回路の2-4倍の高速動作化と1桁以上の高集積化を具現化するプロセス技術の確立を目的としている。本年度は、ジョセフソン接合の高性能化を目的として、その電極に用いるための窒化ニオブ(NbN)薄膜の成膜条件の検討及び配線技術の高度化・接合の微細化のため新たに導入した反応性イオンエッチング(RIE)装置の立ち上げを行った。 まず、NbN薄膜に関しては、成膜方法として反応性RFスパッタリング法を用いた。また、薄膜の評価としては、接合に用いることから、臨界温度(Tc)のみではなく薄膜の表面平坦性、ストレスにも着目して行った。その結果、測定温度の精度に若干改善の余地が残るものの、18K程度までの高いTcを持つ薄膜を得ることができた。これは、スパッタガスとしてArとN_2の混合ガスを用いるが、この全圧及びN_2ガス分圧の最適化による。現在時点での最適条件は、全圧2.2Pa、Ar流量40sccm、N2流量3-4ccmであった。ただし、膜表面の平均二乗粗さRmsに関しては5nm程度(膜厚400nm)であった。この値は、理想的なトンネル接合特性を示すNb/AlOx/Nb接合のNbの値(Rms値=3nm@膜厚300nm)よりやや高めであり、改善の余地が残る。しかし、膜厚を考慮すると比較的良好なものを得ることができたといえる。 一方、新しく導入したRIE装置の立ち上げに関しては、終点検出技術を確立し、エッチング特性として若干アンダーカットが見られるものの、ほぽ良好なものが得られる条件を見出した。
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