研究概要 |
単一磁束量子デバイスを用いた論理回路は、パルスの有無で論理を表現すること、また、スイッチングが非常に高速であることから、その性能を引き出すためには、従来の半導体集積回路とは異なるアーキテクチャに基づく論理設計が必要となる。また、今後実現可能となる大規模回路の正確かつ迅速な設計のためには、計算機による回路設計支援が不可欠である。本研究は、新たに確立されつつある電磁波配線技術を前提とし、本デバイスに適したデータ伝送・処理の方式を示すことを目的とする。 本年度は、前年度に基本方針を検討した、局在電磁波配線を積極的に使う「配線インセンティブ」設計のための、回路設計フローとそのために必要な設計支援の方式について検討し、以下の2点について研究を行なった。 1.クロック同期式順序回路の合成のための一手法を提案した。 単一磁束量子デバイスを用いたクロック同期式論理回路では、すべての論理ゲートがクロックパルスによって駆動される点が半導体と異なるため、高スループット性を引き出すための構成法が必要となる。提案手法では,いくつかの基本ゲートから構成される「状態モジュール」を用いて、状態をone-hot状態割り当てでエンコードし、状態モジュール間を接続する。状態モジュール間の接続にクロックを必要としない合流ゲートを用いるため、フィードバックループからクロックが必要なゲートが排除され、高スループットな順序回路が構成される。ベンチマーク回路を用いて実験を行ない、本手法の有用性を示した。 2.乗算および開平のための回路アルゴリズムの設計を行なった。 単一磁束量子デバイスでの実現に滴すると考えられるシストリックアーキテクチャに甚つぐ同路アルゴリズムを設計した。
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