研究課題
単一磁束量子デバイスを用いた論理回路は、パルスの有無で論理を表現すること、また、スイッチングが非常に高速であることから、その性能を引き出すためには、従来の半導体集積回路とは異なるアーキテクチャに基づく論理設計が必要となる。また、今後実現可能となる大規模回路の正確かつ迅速な設計のためには、計算機による回路設計支援が不可欠である。単一磁束量子回路のスイッチング速度は極めて高速であるが、従来の回路設計ではジョセフソン接合を用いた能動配線縁によるタイミング調整を随所で行っており、特長を十分生かすことができていないと考えられる。局在電磁波配線を積極的に用いてタイミング調整を最小限に抑えることができれば、より高速、小面積の回路を実現できる可能性があるが、そのためには新しい設計手法および設計支援系が必要である。この考え方に基づき、これまでに、クロック信号の配信のための、クロックスケジューリングアルゴリズムを提案してきた。本年度は、クロックスケジューリングを実現する、レイアウトを考慮したクロック木構成法を開発した。提案手法は、入力された回路のネットリストから、各ゲートでタイミング制約が満たされるようなクロック木を合成し、また、そのときの概略配置を得る。まずクロックトゲートをレベル分けした後、レベルごとに、各ゲートのスケジュール設定、ゲートの並べ替え、クロック木合成を順に行う。最終レベルまで処理を行ったら、結果を出力する。提案手法により、タイミング調整されたクロック木を構成することができ、単純な並べ替えを行った場合と比べ、平均33%少ない遅延素子数でクロック木を構成することができた。開発したクロック木構成法は、特に人手では設計困難な大規模回路に対して有効である。また、自動配線手法についても開発を進めている。
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IEICE Transactions on Fundamentals of Electronics, Communications and Computer Sciences E91-A
ページ: 3772-3782