研究課題
【目的】本研究は脊髄損傷患者の重篤な起立性低血圧を克服するバイオニック血圧制御システムの基盤技術の開発を目的とする。申請者は、血圧情報に基づき交感神経を電気刺激することで起立性低血圧を防ぐバイオニック血圧制御システムの開発に成功している。このシステムでは動物実験であったため腹腔神経叢を刺激することで交感神経を刺激した。しかしながら腹腔神経叢は後腹膜に位置するため、臨床的には電極の装着が容易でない。そこで本研究では臨床的に比較的容易かつ低侵襲に交感神経刺激が行える可能性のある体性入力による圧制御を検討した。【結果】動物実験において、皮膚の電気刺激で交感神経活動や血圧変動が誘発できるかどうか検討した。その結果、刺激周波数、電流、パルス幅等を適切に設定することで、安定した交感神経活動の抑制が得られることが明らかなった。九州大学医学研究院倫理委員会の承認を得て、脊損患者の体性入力(電気刺激)に対する血圧変動を計測し、血圧制御に有効な部位、その大きさ、刺激電極の配置、刺激電流の条件(パルス幅、電流値、周波数)を既存の神経刺激装置を用いて求めた。動物実験と同様にエスケープ現象が観察されたため、持続刺激から間欠刺激に変更することで、長時間の安定した血圧応答が得られるようになった。これらの実験で得られた刺激条件を基に、臨床における圧制御に特化した刺激装置の仕様を決定し装置の設計を行った。次年度はこの装置を試作するとともに、この装置を用いた実用性の高い圧制御の実験を行う予定である。
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