研究概要 |
秋田県一の目潟の年縞堆積物の各種分析を実施し、西暦1000年にはスギの森が、西暦1150年にはブナの森が男鹿半島周辺で大規模に破壊されたことが明らかとなり、古代から中世への転換期に東北の大規模な開拓があったことが明らかとなった。平成20年11月にはエシプト文明の学術調査を実施し、カルーン湖からすばらしい年縞堆積物を採取でき、エジプト文明の興亡を東アジアや東南アシアの稲作漁撈文明の興亡との比較において、年単位で論じることができる見通しが得られた。平成21年1月-3月には、カンボジアのプンスナイ遺跡の考古学的発掘調査と遺跡周辺の環境考古学的調査を実施した。これまで発見されていたプラスターマウンドがほかに3基あることが確認され合計4基存在することが明らかとなった。さらにその構造が発掘調査によってよりトンネルや井戸さらには貯水池をそなえていることが明らかになり、水の祭壇であることが判明した。またリンガを立てたヨギの痕跡も発見され、インドのヒンドゥー教の水の思想が紀元前5世紀にはカンボジアに伝播していたことか明らかとなった。こうしたことからプンスアイ遺跡には中国長江文明の影響のみでなく、インド文明の影響が紀元前5世紀から存在したことが明らかとなった。平成21年3月に記者発表を実施し、テレビ、新聞などでニュースとして取り上げられた。またプンスナイ遺跡の発掘記録は英語と日本語の発掘調査概報とともに、カンボシア語の発掘調査概報を判行した。また平成20年6月には本プロジェクトと密接に関連する特集号を国際誌Quaternary International,184,204ppで刊行した。平成21年3月には本プロジェクトの研究成果である『稲作漁撈文明』雄山閣を刊行した。平成21年3月15日には研究分担者と研究協力者による研究会を京都で開催し、研究打ち合わせと研究計画の立案を実施した。
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