研究課題
平成21年4月-平成22年3月の間、秋田県一目潟の年縞の分析を継続して実施した。その結果アジアモンスーンの過去2000年間の大変動を解明でき、稲作漁撈文明の興亡との関連を解明できる見通しがえられた。その結果は日本・スウエーデン科学者協会ワークショップで報告するとともに、単行本の分担執筆(安田、2009)として報告をおこない、国際誌Quaternary Internationalで現在印刷中(Yamada et al.2010)である。平成21年4月から平成22年3月の間、平成20年度に発掘調査した考古遺物の整理をシムリアップの整理室で実施した。出土した大量の土器の復元と編年作業の結果、あらたな土器編年を確立した。また出土した人骨の自然人類学的調査と、大量に出土したビーズ、ガラスの蛍光X線分析、青銅器の鉛同位対比分析を実施した(魯ほか、2009)。それらの結果は単行本の分担執筆として報告した(安田・宮塚2009)。平成22年1月にプンスナイ遺跡博物館がプンスナイ村にオープンし、これまでの研究成果を一般に公開した。平成21年12月から平成22年2月の間、プンスナイ遺跡の小学校の校庭を発掘調査した結果、32か所の墓跡が発見され、大量の青銅器や土器・ビーズなどとともに、門歯を尖らせた人骨3体が発見された。このことによりプンスナイ遺跡の文化がボルネオ島周辺の南太平洋の文化とも交流していることが明らかとなった。平成22年月にはプンスナイ遺跡から出土したビーズの中に、インド産のビーズがふくまれているかどうかの調査を実施した。その結果、インドのビーズの大半はカルネリアンとよばれる石で造ったビーズが大半であり、カンボジアのプンスナイ遺跡のようにガラス製のビーズが少ないことが明らかとなった。なおアンコールトムの環濠の分析結果はScienceに、バリ島のブラタン湖の分析結果はNatureに投稿したが、残念ながら採択されなかったので、国際誌AntiquityとHoloceneに投稿することにした。
すべて 2010 2009
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件) 図書 (3件)
『人と水』(秋道智彌ほか編著)(勉誠出版社)
ページ: 199-228
Quaternary International (In press)
ページ: doi : 10.1016/j.quaint.2009.09.006
MONSOON Vol.8
ページ: 1-3
『地球環境史からの問い』(池谷和信編著)(岩波書店)
ページ: 14-43
『朝倉世界地理講座2 東南アジア』(安田喜憲・立川武蔵監修)(朝倉書店)
ページ: 116-129