研究課題
本年度は、5月に淡青丸による航海が東シナ海北部で行われ、前年度KR07-12航海で最上部を回収できなかったPC-01コアの採取地点で、再度ピストンコアの採取を行った。また、黒潮域から東シナ海沿岸域の表層水および現生浮遊性有孔虫の試料採取も行ない、本研究で予定した試料収集を全て完了した。既に採取したコアの分析については、1)日本海南部および中部から得られた2本のコアを用いて、融氷期から後氷期にかけての風成塵の供給源変動の復元を行い、最終氷期極相期には、偏西風軸は常に日本海中部より南にあり、中部以北は冬期モンスーン風の影響下にあったが、後氷期の6000年前以降は、偏西風軸は常に日本海南部以北にあり、しばしば中部にまで達していたこと、更に偏西風軸は1500〜2000年周期で振動した事が明らかになった。2)東シナ海北部のコアを用いて、浮遊性有孔虫殻の酸素同位体比およびMg/Ca比をもとに融氷期以降の表層水温および塩分の高時間解像度復元を行った。先ず、東シナ海北部の表層水温と塩分は正の相関を示し、夏季モンスーンによる降水量(=揚子江流出量)が大きいほど低温低塩分になる事が示された。そして、融氷期以降、低温、低塩分エベントが1000年から2000年周期で繰り返される事、それが、北大西洋の温暖イベントと概ね対比できる事が明らかになった。3)ベーリング海北部から採取したコアの底生有孔虫殻の酸素、炭素同位体比を前年度より高い時間解像度で分析し、ハインリッヒイベントおよび幾つかのダンスガードーオシュガーサイクル[DOC]の亜氷期に中層水温が低下し、塩分が増加した事、それに伴って炭素同位体比も重くなり、より新鮮な中層水が供給された事が明らかになった。4)オホーツク海西部から採取したコアのアルケノン分析を行い、DOCの亜間氷期に、表層水温は4度前後上昇するとともに塩分が低下した事が明らかになった。
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Proceeding of Russian Academy of Science in (press 掲載確認)
The Holocene (in press 掲載確認)
Geology and Geophysics in (press 掲載確認)
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