研究課題
ヒトDNA中にどのくらいDNA付加体が存在するのかを明らかにするため、主要な臓器について数検体ずつDNAアダクトーム解析を行った。その結果、臓器間で生成する付加体のパターンが大きく異なることが明らかになりつつある。また、主要な付加体ピークについて同定を進めている。その結果、脂質過酸化反応によって生成する4-oxo-2-nonenalや4-oxo-2-hexenal由来のDNA付加体が普遍的に存在することが明らかになった。特に、4-oxo-2-hexenal由来のDNA付加体は産業医大の葛西教授らが発見した新規のDNA付加体であり、今回の共同研究により、ヒト臓器中での存在が初めて明らかになった。また、これら付加体を含めた、過酸化脂質由来DNA損傷20成分の同時分析法を開発し、約100検体のヒト臓器DNAで精密な定量を行い、ヒト臓器におけるDNA損傷の実態の一端を解明した。また、環境発がん性物質3-ニトロベンゾアントロン(NBA)によるDNA付加体の突然変異誘発能を調べるため、NBA由来の3種類の付加体を部位特異的に持つプラスミドを作製した。プラスミドをそれぞれ大腸菌に複製させたところ、dG-(N2-C2)-ABAは他の2種類の付加体に比べ、DNA合成を強く阻害し、またTLSにより複製された娘プラスミドも変異が多かった。以上のことからNBAにより生じる付加体のうち、dG-(N2-C2)-ABAが最も変異に対する寄与が高いと示唆された。
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