研究課題
まず、DNA付加体の定量研究の成果では、飲酒により生成するDNA付加体の解析を、アルコール依存症患者の血液やaldh2ノックアウトマウスの臓器を用いて進め、アルコール及びアセトアルデヒド代謝にかかわる遺伝子多型によりDNA損傷が有意に影響を受けることを示した。さらに、多くの食品中に含まれるアクリルアミドをラットに投与してDNA付加体の測定を行い、若いラットと大人のラットでその影響にはっきりとした差があることを突き止めた。大気汚染物質の3-ニトロベンズアントロン(3-NBA)のDNA損傷性に関する研究も進めている。LC/MS/MS法と従来の32P-ポストラベル法を用いてヒト細胞内の3-NBA由来の各種付加体のDNA修復のキネティクスを明らかにした。また3-NBAの付加体とその生体影響の関連を調べる目的でCHL/IU細胞を用いた染色体異常試験を行った。その結果3-NBAは6ng/mlという極めて低濃度から染色体異常を誘発することが明らかとなった。一方で,代謝活性体であるヒドロキシアミノ体やN-アセチルヒドロキシアミノ体では5μg/mLで染色体異常が観測された。この理由は現在調査中である。また、昨年までの研究で、脂質過酸化反応により生成するDNA付加体が、ヒト組織中に普遍的に存在し、時として非常に高い値を示すことがわかってきた。そこで、シャトルベクターの突然変異検出系を用いて、過酸化脂質により生成するDNA損傷の変異誘発性について検討し、突然変異の誘発を確認した。一方、付加体の修復系を明らかにするため、DNA損傷に結合するタンパク質をSILACという技術を用いて網羅的に解析する方法を確認した。
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