研究課題
前年度までに、測定のための基本システムはほぼ完成し、レーザーと放射光パルスとの同期、再生増幅器からの強力レーザーパルスと放射光パルスとの同期(5kHz)などがほぼできるようになった。そして、フォトダイオードにレーザーパルスを照射することで、放射光パルスと同期を取った高速磁場パルスに対するメゾスコピック磁性体の磁気ダイナミクスの観測を行っている。また、光誘起によって生じる磁化反転のダイナミクス観測へ向けて、NiOなどの磁区観察も詳細に行っている。H21年度には、ここまでの研究成果をICESS国際会議で報告したほか、一部は論文発表も行った。さらに、高速パルスのインピーダンス整合をより適切に取ることにより、磁場パルスに生じていた反射パルスの影響も極力抑えることに成功し、より精度を上げた観測が行えるようになりつつある。また、孤立ドットだけでなく、相互作用が働いていると思われる近接ドットの観測にも成功し、ドット間に相互作用が働いている様子が観測できている。光誘起によるダイナミクス観測のために、5kHzでの強力レーザーパルスと放射光パルスとの同期を実現している。前年に導入した高光束密度対応の回折格子を利用した結果、それ以前の10倍程度の強度を稼ぐことに成功し、実際のPEEM観測に応用可能であることをNiO反強磁性磁区について実証した。この強力パルスレーザーを用いた実験の準備として、光による磁化反転が起こるGdFeCo薄膜を準備し、磁化反転が起こり、しかも組成変化が起こっていないことをPEEM観測によって確かめた。
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Journal of Physical Society of Japan 79
ページ: 013703-013707.
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