研究分担者 |
水谷 文雄 兵庫県立大学, 大学院物質理学研究科, 教授 (80118603)
柳澤 輝行 東北大学, 大学院医学系研究科, 教授 (90133941)
珠玖 仁 東北大学, 大学院環境科学研究科, 助教授 (10361164)
安川 智之 東北大学, 大学院環境科学研究科, 助手 (40361167)
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研究概要 |
本研究は、多機能マイクロ・ナノプローブを搭載した走査型電気化学顕微鏡(SECM)の開発と新規な単一細胞機能解析システムの創成を目指す。探針-試料間距離をシアフォース・イオンコンダクタンス・インピーダンスシグナルにより制御し,単一生細胞へのアプローチと電気化学・光・形状シグナルの取得を検討した。SICM (Scanning ion-conductance microscopy)では,キャピラリ径を最適化することにより,シアフォースフィードバックよりさらに非侵襲的なイメージングが可能になることが確認できた.探針-基板間の距離および相互作用力を精密に制御することで,遺伝子導入,mRNAの回収,パッチクランプなどの操作性を飛躍的向上が期待できる.先端径がサブミクロンのガラスキャピラリを用いたイオン選択性電極を作製した。具体的には、キャピラリ内にクラウンエーテル類を含むジクロロエタン溶液を入れ,液液界面の促進イオン移動を利用したアンペロメトリックなイオン選択性電極を作成し、これをシアフォース距離制御システムに搭載した。ガラス基板上に形成した厚さ1ミクロン、直径10ミクロン程度のナフィオンのスポットの観察を行い、形状、カリウムイオン濃度の同時計測に成功した。機能性ナノ電極の生体試料への応用において問題となる電極の汚染・劣化(electrode fouling)を解決するため、DNAの電気化学検出系をモデルとして、電極材料の検討を行い、ダイヤモンドあるいはダイヤモンド・ライク・カーボン(DLC)がインターカレーター(Hoechst 33258)やオリゴDNAの吸着、汚染による電流低下が少なく、高電位印加による電気化学的洗浄も容易であることを明らかにした。ダイヤモンドあるいはDLC探針の作製によりSECMの高性能化が期待される。また、電極をOs(II)錯体で修飾し、開回路状態でグルコース酵素反応生成物であるか酸化水素と反応させてOs(III)を電極上に蓄積させ、次いで電極に負の電位を印加してOs(III)→Os(II)のクーロメトリックな測定を行うとのプロセスで、酵素活性を数十μU/Lのレベルまで測定できることを見出した。膜受容体の細胞表面への発現調節の解析のため、細胞膜のリサイクリングに関与するとされる低分子量Gタンパク質ARF6の活性化因子EFA6Aと相互作用するタンパク質としてα-アクチニンを同定した。EFA6Aとα-アクチニンの相互作用は、細胞表面における膜受容体の局在制御を担うと思われる。膜受容体によるシグナル伝達効率を解析するため、オキシトシン受容体(OTR)の発現量とオキシトシン(OT)誘導平滑筋収縮との関連を分析した。妊娠19日子官と正常性周期子宮平滑筋の比較から、OT誘導平滑筋収縮力は一義的にOTR発現量に規定されるのではなく、細胞内Ca濃度を維持する細胞表面のL型CaチャネルやSR膜のstore-operated Caチャネルの活性によって制御されていることが明らかになった。
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