研究課題
以下の成果を得た。1) Ecolによる姉妹染色分体間接着の確立機構の解析姉妹染色分体間接着確立因子Ecol(アセチル転移酵素)の作用機序を明らかにするために、eco1-1温度感受性変異の抑圧変異を単離した。変異のスクリーニングはDNAチップを用いて行う新規手法を導入し、結果として、Rad61、Pds5、Scc2の3遺伝子を得た。Rad61および、Pds5はコヒーシンのサブユニットである。生化学的解析の結果、rad61およびpds5に生じたecol-1の抑圧変異は、コヒーシン複合体の染色体への結合を不安定にすることが判明した。この事実と、EcolがSmc3をアセチル化することを考え合わせると、EcolによるSmc3のアセチル化によりRad61、Pds5が不安定になり、コヒーシンが脱落しやすくなると考えられる。現在、Smc3のアセチル化の意義をさらに検証している。2) コヒーシン関連疾患の分子病態についてCdLS(コルネリア デ ランゲ症候群)はコヒーシンあるいはコヒーシンローダーに変異が入ることで引き起こされる重篤な疾患である。患者は四肢の奇形、小頭症、精神発達遅延を示し、重篤な分化異常が生じている。CdLSの患者より単離したB細胞を用いて、コヒーシンの局在解析、転写解析を行った。その結果、CdLSの患者ではコヒーシンの4割が失われており、失われたコヒーシン結合部位近傍からの転写が、CdLS患者では誘導されることがわかった。このことは、ヒト染色体上に存在するコヒーシンの4割は細胞分裂には必要なく、むしろ、転写抑制に必要であることを示している。
すべて 2009 2008
すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 6件)
PLoS Biology (in press)
EMBOJ. (in press)
Curr. Biol 19
ページ: 492-497
EMBOJ. 27
ページ: 3036-3046
Genes Dev. 22
ページ: 2215-2227
Mol. Cell 32
ページ: 106-117