研究課題
本研究の目的は2つある。第一は、枯草菌のペプチドフェロモンに関する研究で、第二は植物のペプチドホルモンに関する研究である。枯草菌のComXフェロモンについては、化学合成したComXフェロモン前駆体と大腸菌を利用して組換えタンパク質として得た修飾酵素ComQを用いたin vitro酵素反応系を確立し、ComXフェロモンの特徴的な翻訳後修飾に必要となるコンセンサス配列の解明を試みた。その結果、明確なコンセンサス配列は存在せず、58残基のComX_<RO-E-2>前駆体配列のうち3-41残基目のアミノ酸がフェロモンの合成に重要であった。また、修飾されるトリプトファン残基の位置も重要であり、C末端から2~4残基目に位置する場合に効率よく修飾されることが明らかになった。これと並行して修飾酵素ComQの機能解析にも取り組み、FARM、SARMと呼ばれるアスパラギン酸リッチなモチーフが酵素活性に必須であることを明らかにした。植物のペプチドホルモンに関しては、気孔密度を減少させる働きを持つEPF1、EPF2遺伝子に由来するペプチドの合成に取り組み、大腸菌を利用して組換えタンパク質として生理活性を有するEPF1、EPF2ペプチドを得ることに成功した。これらのペプチドは1~10μMの濃度でシロイヌナズナの表皮の気孔密度を減少させるという生理活性を示した。これによって、気孔密度の調節を行っているstomagen、EPF1、EPF2という3種のペプチドを生理活性を有する形で得る方法を確立したこととなり、今後これらのペプチドが協奏的に機能することで気孔形成が調節される仕組みの解明に取り組む予定である。
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