研究課題/領域番号 |
18104003
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
藤本 正行 北海道大学, 大学院・理学研究院, 教授 (00111708)
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研究分担者 |
野本 憲一 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (90110676)
小笹 隆司 北海道大学, 大学院・理学研究院, 教授 (90263368)
青木 和光 国立天文台, 光赤外研究部, 助教 (20321581)
辻 隆 東京大学, 名誉教授 (20011546)
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キーワード | 恒星進化 / 超新星爆発 / 核種合成 / 星間塵形成 / 星形成 / 初期宇宙 / 第一世代の恒星 / 超金属欠乏星 |
研究概要 |
前年度に引き続き各グループが宇宙開闢史の解明の基礎となる理論、観測を進展させるとともに、その成果の結合に向けての比較・連携の新しい方向の追究を始めた。 理論面では、昨年度に引き続き、低質量の最も鉄が少ないHMP星を含む超金属欠乏星について連星系での進化に伴う表面組成の変成の特性を解明、宇宙黎明期からの生き残りの素性の理解を進め、さらに、銀河の合体形成過程を考慮して宇宙の化学進化を調べ、超新星爆発と生き残りである低質量星との関係の新たな側面を明らかにした。また、大質量星の超新星爆発に関して、多数のIbc塑超新星の後期のスペクトルの形状をすばる望遠鏡で観測、重力崩壊型超新星の爆発の殆どが非球対称であり、爆発的元素合成にその影響が顕著に現れることを見出し、超金属欠乏星の鉄族元素などの化学組成の特徴の理解に繋がることをしめした。宇宙初期の超新星爆発に伴うダストについては、残骸中での衝撃波による破壊を考慮し、星間空間へのダストの供給を明らかにし、HMP星の観測との関連、星間減光と高赤方偏移銀河の観測との比較を議論した。また、恒星大気についても、低温度星での化学組成決定の困難の原因、分子線について化学的非平衡を考慮する必要性を闡明した。 観測面では、スローン・デジタル・スカイサーベイで検出された金属欠乏星のすばる望遠鏡による詳細観測に着手し、分担者をPIとするすばる望遠鏡の大規模観測プログラムが採択され、開始した。また、超金属欠乏星のデータベースについては、論文を投稿し、公開の準備を終えた。 本年度は国際研究集会「Origin of Matter and Evolution of Galaxies」を主催し、外国からの30人余を含む130人余が参加、本研究の成果を発表するとともに、討論を組織し、宇宙開闢史の解明の今後の発展方向、核物理研究者との協力についての有益な示唆を得た。
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