研究課題/領域番号 |
18104007
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
菅 滋正 大阪大学, 大学院・基礎工学研究科, 教授 (40107438)
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研究分担者 |
今田 真 大阪大学, 大学院・基礎工学研究科, 准教授 (90240837)
関山 明 大阪大学, 大学院・基礎工学研究科, 助教 (40294160)
恒川 雅典 大阪大学, 大学院・基礎工学研究科, 特任助教 (20403131)
山崎 篤志 甲南大学, 理工学部, 講師 (50397775)
矢橋 牧名 理化学研究所, X線自由電子レーザー計画推進本部, 研究員 (00372144)
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キーワード | 軟X線角度分解光電子分光 / バルク3次元フェルミオロジー / 強相関電子系 / 硬X線光電子分光 / 光電子recoil効果 / 近藤格子効果 / 極低エネルギー超高分解能光電子分光 |
研究概要 |
近年注目を集めている電子相関の強い物質系では表面での電子のホッピングエネルギーが電子相関エネルギーに対して相対的に小さくなるために、電子状態がバルクのそれと大きく異なることが知られている。それゆえ、非弾性平均自由行程がより大きくなる高い運動エネルギーでの軟X線光電子分光や、さらには軟X線での角度分解光電子分光(SX-ASRPES)がバルク電子状態を探る有力な手法とされる.さらに加えて数keVの硬X線を用いた光電子分光いわゆるHAXPESもまたバルク敏感に電子状態を探ることが出来る新しい手法である。また一方で逆に8-12eV領域の極低エネルギー光電子分光も物質によってはバルク敏感であるとの報告もあり,しかも近年の技術開発により高価なレーザーを用いなくとも超高分解能を実現できる可能性があり、そのような装置の開発が待たれてきた。 本研究ではまずSX-ARPES研究をさらに協力に展開した.CeRu2Ge2と対照的に混成がやや大きなCeRu2Si2系では3次元Fermi面形状やバンド分散に大きな差があることが判明し,Ce4f軌道と伝導電子との混成の度合いが電子状態に大きく寄与していることをあきらかにした.またYb近藤系において混晶をつくり長距離格子効果を抑制することで不純物模型でのYb4fスペクトル解釈が可能なものの純粋なYbA13では格子効果が重要であることを再確認できた. HAXPESでは電子の運動エネルギーが大きいために光電子放出に際して原子のrecoil(反挑)が起こることを内殻光電子放出だけでなく価電子帯光電子放出に対しても見つけた.最後に実験室において極低エネルギー光電子分光装置の開発に成功した.
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