研究課題/領域番号 |
18105005
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
伊藤 紳三郎 京都大学, 工学研究科, 教授 (50127049)
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研究分担者 |
大北 英生 京都大学, 工学研究科, 助教授 (50301239)
青木 裕之 京都大学, 工学研究科, 助教授 (90343235)
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キーワード | 高分子構造 / 近接場光学 / 走査顕微鏡 / 単一分子鎖 / 蛍光法 / 分光法 / 高分子薄膜 |
研究概要 |
平成18年度(初年度)は、研究態勢の整備を行うことを第一に考え、分光分析能力と測定感度の高いカンチレバー型近接場光学顕微鏡を新たに導入し、世界的にも最高性能の観測能力を確保することに努めた。また顕微鏡本体に加えて、観測に付帯的に必要となる除振台、ホットステージ、さらに超高感度顕微分光を行うための光検出器を導入し、感度においては一分子レベルから検出できる超高感度と、空間分解能においては60nmを識別できる高分解能をもつ顕微鏡システムを構築した。このような近接場光学顕微鏡の優れた能力を活かして、単一分子鎖レベルから構造を探求する以下のような研究を展開した。 (1)高分子固体内での高分子鎖の形態と広がりに関する研究 (1)-1 表面・界面・薄膜などの制限空間において高分子が示す特異な物性を分子鎖形態から直接的に明らかにするため、高分子の単分子膜を作製し、その2次元的な膜内部に存在する高分子鎖の単一鎖形態の観察を行った。 (1)-2 異種高分子からなるブレンド膜あるいはブロック共重合体膜における界面およびマトリクス内での高分子鎖広がりと配向を、近接場光学顕微鏡による直接観測に基づいて系統的に検証した。 (2)高分子鎖の配向性に関する研究 高分子の延伸にともなう分子鎖配向と緩和を、マクロ変形と分子鎖形態の相関から明らかにした。近接場光学顕微鏡像から分子鎖伸張(分子鎖ひずみ)を定量的に測定し、アフィン理論の実験的根拠と制約を示した。 (3)高分子鎖の空間分布に関する研究 高分子鎖の拡散現象を分子鎖レベルで捉え、界面拡散や表面偏析に至る過程を分子鎖レベルから実測し、空間分布測定に基づく分子論的な拡散メカニズム解析を行った。
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