研究課題/領域番号 |
18105006
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
中谷 和彦 大阪大学, 産業科学研究所, 教授 (70237303)
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研究分担者 |
堂野 主税 大阪大学, 産業科学研究所, 助教 (60420395)
萩原 正規 大阪大学, 産業科学研究所, 助教 (40403000)
武井 史恵 大阪大学, 産業科学研究所, 助教 (30252711)
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キーワード | ミスマッチ / DNA / 分子 / 高次構造 / 制御 / ヘアピンループ / 会合体 / 光異性化 |
研究概要 |
これまでDNAと相互作用する光機能性物質の開発やDNA-ドラッグ間相互作用の精密制御に関する研究を進め、世界で初めてDNA中のミスマッチ塩基対を安定化する低分子の合成、センサー化に成功してきた。本年は5年間の研究期間の最終年度に当たり、1)光応答性ミスマッチ安定化分子による二重鎖形成制御による機能スイッチング性能の向上と2)低分子による核酸構造制御法の確立について研究した。 1) 光応答性ミスマッチ安定化分子による二重鎖形成制御による機能スイッチング性能の向上を目指し、アゾベンゼン環上に置換基を導入した化合物を設計合成した。合成した化合物の光照射下におけるシスートランス異性化を詳細に検討し、導入した置換基を介して金表面上への固定化を達成した。スイスベルン大学のHaner教授との共同研究を進め、二重鎖形成に伴い蛍光消光が観測される系を検討したが、蛍光のブリーチングが顕著に観測され、光応答性ミスマッチ安定化分子への光照射の効果が充分に観測出来なかった。消光剤と蛍光色素の組み合わせが、アゾベンゼンの二重結合の光異性化と重なったことが主な理由であることが判った。 2) 低分子による核酸構造制御法の確立について、これまで研究を進めてきた(CGG)n配列に結合する小分子リガンドを使い、ヘアピン配列に(CGG)nを持つDNAヘアピン同士を会合させることに成功した。詳細なヘアピンループの配列依存性、小分子リガンドの構造結合活性相関を検討した結果、リガンドはループ配列中のグアニン塩基と水素結合を形成していること、リガンドにより二つのループが結合されていることを明らかにした。さらに、RNA-RNAループの結合も可能であることを確認している。 3) 小分子リガンドによるRNAへの結合による翻訳阻害の可能性を検討し、in vitro系では翻訳抑制が可能であることを確認した。
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