1. 骨・歯の再生期間を制御した絹骨欠損移植材の開発 一次構造の分子設計とトランスジェニック(TG)カイコによる生産:機能部位の繰り返し構造を含む新規絹様タンパク質(10種類以上)の生産を、主に、トランスジェニックカイコを用いて行った。プロセッシングによる高次構造制御:TGカイコを用いて生産した新規絹様タンパク質について、フィルム、不織布ならびにスポンジを作成した。これらの試料について構造、物性、細胞接着性ならびに生分解性等の評価実験を行い、骨欠損部位の大きさに対応した絹移植材を開発した。 2. 再生医療材料評価システムの開発 絹移植材による骨形成の促進:絹コート上で骨芽細胞を培養すると、コラーゲンの場合より骨芽細胞の成熟・分化が亢進し、早期の石灰化が認められた。さらに、分化を誘導する遺伝子Runx2およびI型コラーゲンα鎖遺伝子の発現も認められ、絹の移植を骨組織に適用する場合、良好な骨形成と骨欠損の治癒・改善が期待できることが示唆された。 In vivo骨形成と骨リモデリングの解析:TGカイコで生産した絹スポンジを新規に開発したマウス大腿骨を用いた骨移植評価系において比較・評価した。軟X線撮影によって、絹移植材は大腿骨皮質骨および海綿骨部への定着が観察され、生体拒絶反応は認められなかった。さらに、蛍光二重ラベル法を用いた骨形成の評価法を構築した。骨リモデリングは骨形成と骨吸収のバランスが重要であり、絹移植材の骨吸収への影響も検討した。また、移植による全身への影響についてマウス血液サンプルを用い、生化学的マーカーにより比較した。
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