研究課題/領域番号 |
18106002
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
増原 宏 大阪大学, 大学院工学研究科, 教授 (60029551)
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研究分担者 |
吉川 裕之 大阪大学, 大学院工学研究科, 助手 (00314378)
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キーワード | 光圧 / 結晶化 / 円偏光 / エナンチオ選択性 / J会合体 / ペリレン / ポリスチレン / 共鳴レーザー |
研究概要 |
1、倒立顕微鏡にXYZピエゾスキャンステージを設置し、捕捉用CWレーザーと同軸で、フェムト秒レーザーパルスをサンプル溶液中に集光させるシステムを新たに構築した。捕捉用CWレーザーをλ/4板により偏光状態を変化させ、対物レンズを通してレーザー光を試料に集光し、エナンチオ選択された結晶を作製するためのシステムとした。さらに、この開発されたシステムにポラライザー及びアナライザー等の各種顕微鏡光学部品を付け加えることにより、作製された結晶の光学純度をリアルタイムに判定し、作製された結晶のエナンチオ選択性を定性的にかつ瞬時に判断できるシステムに発展させた。 2、シアニン系色素水溶液の溶媒蒸発過程に近赤外レーザーを集光し、光圧ポテンシャル内における色素J会合体形成過程について解析した。二光子励起蛍光スペクトルを解析することによって、光圧ポテンシャル内ではJ会合体の形成、成長が促進されることや、配向秩序構造の高いJ会合体が選択的に形成されることを見出した。光圧を利用して、優れた光機能を持つJ会合体のナノ構造を作製し、サイズや構造、電子状態を制御する全く新しい方法を提示した。 3、光圧を用いた高分子集合体の配列・固定化法をさらに発展させ、ペリレンとポリスチレンの混合溶液の溶媒蒸発過程に光圧を作用させ、2成分分子集合体をレーザー集光位置に作製することに成功した。光圧の大きさによって集合体内のペリレンとポリスチレンの濃度比が変化することを見出し、両分子の分極率差に起因すると結論した。光圧が2成分系有機材料の組成比を局所的に制御できる可能性を初めて示した。 4、可視、赤外、2波長のレーザー光を集光し、蛍光色素を含むポリスチレンナノ粒子の光圧ポテンシャル内での運動を、可視共鳴レーザー光の強度によって制御することに成功した。この原理を用いれば、特定の色素でラベルした生体分子の拡散運動を、共鳴レーザーで抑制できると期待できる。
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