研究概要 |
平成18年度は申請時に計画した研究を遂行し,以下の研究実績を得た。 1.原子拡散と再配列制御の理論的考察 エレクトロマイグレーションによる原子流束発散に着目したナノワイヤ創製の数値シミュレーション手法を構築した。試験片の損傷,創製速度および創製量に及ぼす創製条件の影響を検討し,ナノワイヤ創製のための支配因子を明らかにした。 2.ナノワイヤ創製の基盤構築 アノード端にスリットを入れたSiO_2被覆型のAl薄膜配線を作製してAl原子を局所的に集約することに成功した。また実験より,項目1で構築したシミュレーションの妥当性を検証した。 3.ナノコイル/ナノリング創製の実現 直径数10nmのCuナノワイヤにPt膜を不均一に蒸着して熱応力誘起の曲げモーメントを発生させ,外径約400nmの金属ナノコイル(一巻分)を実現した。 4.ナノワイヤの機械的特性評価 数値解析によりナノワイヤを降伏させるための最適な負荷形態を見出した。得られた知見を踏まえ,ナノワイヤの弾性定数および降伏強さ等の機械的特性値を評価するナノマテリアル試験機の試作に着手した。 5.4探針型原子間力顕微鏡プローブによる電気的特性評価 当該プローブの電極寸法および形状の最適化を行い,幅400nmなる微細配線の局所領域における電流-電圧関係を計測し,導電率を定量評価することに成功した。 6.超音波励振磁性振子による電気的特性評価 Cu, Au, Ptナノ薄膜内に高密度な渦電流場を形成し,導電率を定性的に評価することに成功した。さらに,カンチレバー先端に付着させたナノワイヤに局所的な渦電流場を形成して同ワイヤを評価する手法について検討した。 7.ジュール発熱を利用したナノワイヤの接合 Ptナノワイヤ同士を対向させた接触部に直流電流を付与して生じる発熱を利用して同ワイヤ同士を接合することに成功した。また異種金属同士のナノ接合や,ナノワイヤの切断にも成功した。
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