研究概要 |
本研究では,詳細化学反応機構を考慮に入れたグリッド・コンピュータによる超大規模直接数値計算(DNS),高解像度時系列粒子画像速度計(PIV)とOHラジカル及びCHラジカルの高時間分解能平面レーザ誘起蛍光法(PLIF)等を組み合わせた高解像複合光学計測を用いて燃料液滴の蒸発・混合及び燃焼過程,不均一燃料濃度及び不均一温度分布を有する予混合気の自着火及び火炎伝播機構等の実用的な燃焼器の高効率化と低環境負荷化に重要となる成層・混相乱流燃焼機構を明らかにし,それらに基づく高度乱流燃焼制御技術を確立することを目的としている.平成19年度は,前年度までの研究に引き続いて,数値的研究では,詳細化学反応機構と物性値・輸送係数の温度依存性を考慮に入れたDNSを炭化水素燃料に拡張することに重点をおいて研究を行った.不均一燃料濃度及び不均一温度分布を有する予混合気の自着火・火炎伝播機構を明らかにするため,DNSをヘプタン等の炭化水素燃料に拡張するとともに,異なる圧力条件に対して行った.その結果,着火・火炎伝播機構は,同様な乱流場においても燃料と圧力に比較的大きく依存することを明らかにした.特に,局所火炎構造は燃料種に大きく依存し,炭化水素燃料の場合,火炎全体が高い熱発生率を示すとともに,強乱流場では局所消炎が生じることを明らかにした.また,大規模な三次元DNSを可能とするために反応項の取り扱いに陰解法を導入することで,DNSに要する計算時間の大幅な短縮を行った.実験的研究では,昨年度までに開発したダブルパルスCH PLIF計測とステレオPIVの同時計測にさらにOH PLIF計測を加え,局所火炎構造と火炎近傍の乱流特性の関係を明らかにした.また,二平面CH PLIF計測法を開発し,これと一平面OH PLIFを組み合わせることで,乱流予混合火炎の三次元構造を実験的に検討可能な同時計測法を確立した.
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