研究概要 |
本研究では,詳細化学反応機構を考慮に入れたグリッド・コンピュータによる超大規模直接数値計算(DNS),高解像度時系列粒子画像速度計(PIV)とOHラジカル及びCHラジカルの高時間分解能平面レーザ誘起蛍光法(PLIF)等を組み合わせた高解像複合光学計測を用いて燃料液滴の蒸発・混合及び燃焼過程,不均一燃料濃度及び不均一温度分布を有する予混合気の自着火及び火炎伝播機構等の実用的な燃焼器の高効率化と低環境負荷化に重要となる成層・混相乱流燃焼機構を明らかにし,それらに基づく高度乱流燃焼制御技術を確立することを目的としている.平成21年度は,前年度までの研究に引き続いて,数値的研究では,詳細化学反応機構と物性値・輸送係数の温度依存性を考慮に入れたDNSを拡張し,メタン・空気予混合気の乱流中での自着火・火炎伝播機構を解明することに重点をおいて研究を行った.HCCIエンジン内の燃焼機構を明らかにするために,不均一予混合気の自着火・火炎伝播機構に対する壁面熱損失などの影響を明らかにした.また,ICエンジン内燃焼の完全シミュレーションを実現するために,DNSを三次元定容容器内乱流燃焼に拡張し,局所火炎構造と壁面熱損失の関係,壁面での消炎機構,容器内圧力上昇と乱流火炎構造との関係などを明らかにした.実験的研究では,昨年度開発した光学計測が可能な閉容器燃焼器に乱流発生装置を追加し,燃焼器内に生成される乱流場の特性を明らかにした.また,これまでに構築された複合光学計測装置を二平面CH PLIF,一平面OH PLIF及び二波長二平面ステレオPIVに拡張し,乱流予混合火炎の局所火炎構造と火炎近傍の乱流構造等との関係を明らかにした.さらに,HCCIエンジンを模擬した燃焼室内の温度分布を変化できる燃焼器を用い,温度分布の不均一性がメタン・空気予混合気の燃焼特性に与える影響を明らかにした.
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