研究概要 |
本研究では,詳細化学反応機構を考慮に入れたグリッド・コンピュータによる超大規模直接数値計算(DNS),高解像度時系列粒子画像速度計(PIV)とOHラジカル及びCHラジカルの高時間分解能平面レーザ誘起蛍光法(PLIF)等を組み合わせた高解像複合光学計測を用いて燃料液滴の蒸発・混合及び燃焼過程,不均一燃料濃度及び不均一温度分布を有する予混合気の自着火及び火炎伝播機構等の実用的な燃焼器の高効率化と低環境負荷化に重要となる成層・混相乱流燃焼機構を明らかにし,それらに基づく高度乱流燃焼制御技術を確立することを目的としている.平成22年度は,前年度までの研究に引き続いて,数値的研究では,詳細化学反応機構と物性値・輸送係数の温度依存性を考慮に入れた乱流燃焼のDNSを,HCCIエンジン等の実用的な燃焼場に拡張し,ICエンジンの完全シミュレーションを試みた.メタン・空気不均一予混合気の乱流中での自着火・火炎伝播のDNSを行い,予混合気の不均一性や壁面熱損失などがHCCIエンジン内の燃焼機構に与える影響を明らかにした.また,ICエンジン内燃焼の完全シミュレーションを実現するために,前年度までに開発した三次元定容容器内乱流燃焼のDNSを,エンジンと同程度の大きさの定容容器内乱流燃焼に拡張し,局所火炎構造と壁面熱損失の関係,容器内圧力上昇と乱流火炎構造との関係などを明らかにした.これまでに得られたDNS結果を用いて,高精度SGS燃焼モデルの開発及び総合的な検証を行った.実験的研究では,前年度までに構築された複合光学計測技術を用いて,前年度新規に開発した不均一乱流予混合気生成装置を設置した定容容器燃焼器や現有の急速圧縮装置などに適用し,温度及び濃度が空間的に不均一な予混合気の局所火炎構造と火炎近傍の乱流構造などを計測した.それらと上述のDNS結果とを比較することにより,温度及び濃度変動が予混合気の乱流燃焼機構に与える影響を明らかにするとともに,LES検証用データベースを構築した.
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