研究概要 |
甘味受容膜の開発及び応答機序の解明を行った.脂質高分子膜表面にフェノール化合物を用いた修飾を行い,電荷を持たない糖類に対する膜電位計測による高感度糖応答膜を開発した.またこの応答は,修飾膜表面に糖が受容され膜電位変化が誘起されることを確認した.さらに本研究の成果を基にした発展研究として,同様に電荷を持たない呈味物質であるアルカロイド系の苦味物質,特にカフェインの検出を目指した研究開発を行った.その結果,フェノール化合物のなかでも,特に高感度を示す膜表面修飾物質の構造を特定することができた また,味覚センサの小型化を図るため,USBメモリサイズにまでに小型化したプロトタイプを作製した.このプロトタイプ小型化味覚センサは,PCで電源を供給し,かつデータ処理を行うものであり専用のソフトウェアを開発した.このプロトタイプを単独で評価した結果,電気的特性で所定の性能が得られた.固体電解質(pHEMA)を凸型に形成することで,pHEMA上に形成される脂質膜受容部の凹みを無くし,脂質膜厚の均一化を図った.その結果,プラスチック基板上の渋味センサと苦味センサを用いて,20セット(1セット=6サンプル×4回測定)測定したところ,その標準偏差は平均値の5%以下であり,市販味覚センサプローブと同程度の安定性を示した 匂いセンサに関しては,QCM検知電極表面を熱水処理によってナノサイズ化し,匂いガスに対して高感度検知可能な機能薄膜とした検知手法について検討を行った.また,電気化学センサにおいては自己組織化単分子膜の櫛型電極によりセンサ応答の安定化を達成した.これらのセンサを組み合わせた総合的な匂いセンシングシステムの検知特性を評価した
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