研究概要 |
近年、申請者らは、室温近傍で強磁性母相から非磁性相へとマルテンサイト変態を生じるNi_2MnIn基形状記憶合金を見出した。本研究では、これらNi基およびCo基機能性ホイスラー化合物に関して、その磁気変態や相安定性等の基礎物性を明らかにした上で、これら基礎研究の成果を利用し新規機能性ホイスラー材料の磁気アクチュエータ、磁気冷凍、TMRデバイスへの応用を目指すものである。平成20年度の研究内容は、以下に示すとおりである。 (1) 状態図の研究 : 実用的に重要なCo-Mn-Ga、Ni-Mn-In、Ni-Mn-Sb3元系状態図をコンビナトリアル法を用いて実験的に決定した。 (2) メタ磁性形状記憶合金および磁気冷凍材料の研究 : NiCoMnIn系、NiCoMnSn系およびNiCoMnAl系について、磁気特性、電気伝導特性等の基本的物性を明らかにした。また、マルテヤンサイト変態の温度や磁場ヒステリシスの大きさに影響を及ぼす支配因子を明らかにするために50Tまでの強磁場における相転移を実験により調査した。さらに、NiMnIn系では、規則-不規則温度が非常に低いことが判明したので、母相の規則構造とマルテンサイト変態や磁気的性質との関連を明確にした。磁気冷凍材料については、実用を考えて、ガスアトマイズ法による粉末を作製し、粉末試料についての磁気特性や磁気熱量効果を評価した。 (3) ハーフメタル材料の研究 : 高い理論分極率、相安定性とキュリー温度を兼ね備えた合金系を提案するための基礎研究を19年度に引き続き実施した。Co_2MnZにおけるZサイトをSi, Ge, SnといったGa以外の元素にして相安定性と磁気特性の評価を行った。
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