研究概要 |
平成21年度は、(1)低温でのメタンのリフォーミングを可能にする新規Ni触媒の開発、(2)Pt系合金燃料電池触媒のin-situ構造解析、(3)in-situ時間分解・空間分解XAFSによる選択酸化触媒反応機構、燃料電池電極反応の動的構造解析を実施した。 (1)Ce_2Zr_2O_x(x=7-8)は、Ceのレドックスにより、バルク量論に相当する酸素を吸蔵したり放出したりできる優れた酸素吸蔵・放出能力を有した物質であり、この酸化物固溶体表面にNi粒子を担持した触媒が、メタンのスチームリフォーミング反応に非常に優れた触媒特性を示すことを見出した。バルク内の酸素量に応じたNi粒子の触媒活性の変化と触媒活性構造を明らかにした。 (2)燃料電池カソードに用いられるPt-Au合金系触媒のin-situ XAFS構造解析を行った。Pt,Pt-Au,Pt-Auコアシェル型触媒のそれぞれの触媒について、Pt L_<III>端,Au L_<III>端,Pt K端,Au K端のXAFS構造解析を行い、燃料電池電位操作に応じたPt及びAuの構造変化を計測した。Auの添加によって、電位変化に伴うPtの酸化還元挙動の変化が異なることを初めて見出した。 (3)金属担持Ce_2Zr_2O_x(x=7-8)酸化物固溶体触媒の酸素吸蔵・放出過程における結晶構造の変化をin-situ時間分解X線回折により計測した。また、酸化物担持バナジウム触媒のアルコール選択酸化反応過程におけるin-situ時間分解XAFS計測、in-situ時間分解ラマン分光計測に成功し、各担体表面で起こる選択酸化触媒反応機構を解明し、アルデヒド選択性を決定づける表面構造と反応機構を解明した。
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