研究概要 |
真核生物の細胞内でタンパク質は,生体膜で仕切られた区画(オルガネラ)に集合して半自律的システムをつくり, 複雑な細胞機能を分散管理している。細胞にはこうしたタンパク質群の移動や集合を実現し, 維持する巧妙な交通管制システムが存在する。オルガネラを生合成し, 維持するためには,細胞内で合成される膨大なオルガネラタンパク質を正確にオルガネラに移行させ,オルガネラ内の適切な部位に配置し, 正しい高次構造, 複合体形成,膜配向を実現しなければならず, この役割を担うのが各オルガネラ膜上のトランスロケータである。トランスロケータは, 基質タンパク質自身に書き込まれた「行き先シグナル」を読み取り, オルガネラ膜を舞台とするタンパク質の適切な配置を実現する。本研究では, 申請者らがこれまで行ってきた研究を発展させて, ミトコンドリアの多様なトランスロケータの全貌と動態を緊急に把握し, 続いて各トランスロケータの作動原理の一般性と特異性を明らかにし, トランスロケータ間の連係プレーによるタンパク質の交通管制のメカニズムの全貌を解明することを目指す。さらにそれらの知見に基づき交通管制システムを人為的に改変し, オルガネラへのタンパク質の流れをバルクで操作することを試みる
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