研究課題
平成20年度は、前年度に作製した回転子と固定子を遺伝子的に融合し回転を一箇所で止めたATP合成酵素とその多数のバリアントを、大腸菌で発現させて精製して結晶化の条件を検索した。界面活性剤の種類と条件を徹底的に検討した。19種類の界面活性剤を用いて、膜画分からATP合成酵素、(C_<10>-a)F_0複合体およびab_2サブ複合体の可溶化および精製をおこなった。SDS-PAGE、ゲルろ過クロマトグラフィー、 ATP加水分解活性測定から、各界面活性剤で得られる複合体の収率、安定性、単分散性、活性を検討した。その結果、ドデシルマルトシドやウンデシルマルトシドなどのマルトシド系の界面活性剤で、安定で単分散したATP合成酵素、(C_<10>-a)F_0およびab_2を得ることができることを見出した。(a-ε-γ)F_0F_1と(c_<10>-a)F_0をドデシルマルトシドで精製し、結晶化を行ったところ、いくつかの条件で擬結晶が得られた。これらの擬結晶は目的のタンパク質からなることを電気泳動で確認した。このことは、結晶化に用いているサンプルは安定で単分散した良好なものであることを示している。また、ab_2部分複合体を抗原にして、モノクロナル抗体を生産する抗体産生細胞株作成した。抗体のスクリーニングを工夫して、ab_2の細胞質側に結合する抗体とab_2のペリプラズム側に結合する抗体を産生する細胞株を得ることに成功した。これらのFabフラグメントは、F_0F_1および(c_<10>-a)F_0に1:1で結合する。1分子観察によって、回転と同時に一つのβサブユニットの構造変化を追跡することに成功した。その結果、今までのF1の結晶構造は、80度のいわゆる加水分解角度のときの構造で、ATP待ちのときのF1の構造においてはこれと違った構造が現れていることがわかった。
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