研究課題/領域番号 |
18107006
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研究機関 | 大学共同利用機関法人自然科学研究機構(共通施設) |
研究代表者 |
高田 慎治 大学共同利用機関法人自然科学研究機構(岡崎共通研究施設), 岡崎統合バイオサイエンスセンター, 教授 (60206753)
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研究分担者 |
大久保 直 大学共同利用機関法人自然科学研究機構(岡崎共通研究施設), 岡崎統合バイオサイエンスセンター, 助教 (10450719)
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キーワード | 発生 / 遺伝子 / 脊椎動物 / 転写制御 / 変異体 / ノックアウト / 体節 / 形態形成 |
研究概要 |
脊椎動物の体に見られる反復的な構造を生み出す分子メカニズムを解明することを目的に、体節形成に異常を呈するゼブラフィッシュ突然変異体の解析を進めた。今年度は、体節の大きさが大きくなる1系統について原因遺伝子の決定を行い、我々のスクリーニングにより得られた体節形成に異常を呈する突然変異体の原因遺伝子はすべて明らかになった。一方、体節の分節化を制御する因子としてすでに同定したRipply1については、転写因子TbxやMesp-bとの相互作用について培養細胞系を用いて解析を進めた。Ripply1については、ノックアウトマウスを用いた解析を進めた。Ripply1単独の変異体ではごくわずかな体節の分節性の異常を呈するのみであったが、Ripply2との二重変異体を作成したところ、Ripply1変異はRipply2変異による体節分節内の前後極性の異常をより増強した。Ripply単独、ならびに二重変異体におけるMesp遺伝子の発現とNotchシグナルの活性化状態を詳細に調べた結果、RipplyによるMesp遺伝子の発現の量とタイミングの制御によって体節分節内の前後極性が正しく確立されるものと考えられた。体節と同様に頭部から尾部にかけて逐次分節が形成される組織として、咽頭弓が知られる。我々は、Ripply3が、咽頭弓においてTbx1とともに発現することから、咽頭の分節形成過程において体節と同様にTbx-Ripplyの相互作用が重要な働きをしているのではないかと考え、Ripply3ノックアウトマウスを作成し解析した。Ripply3ノックアウト胚では、第3体節より後方の分節性が完全に消失し、この領域から発生する胸腺、副甲状腺、心臓流出路、動脈弓などに異常が認められた。この結果は、体節以外の分節形成の場に体節の場合と同様の分子機構が関与することを示唆している。
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