研究課題/領域番号 |
18108004
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
今川 和彦 東京大学, 大学院農学生命科学研究科, 助教授 (00291956)
|
研究分担者 |
眞鍋 昇 東京大学, 大学院農学生命科学研究科, 教授 (80243070)
田中 智 東京大学, 大学院農学生命科学研究科, 助教授 (90242164)
|
キーワード | 動物 / 遺伝子 / 発現制御 / 妊娠 / リモデリング / インターフェロン / トロホブラスト細胞 / 着床 |
研究概要 |
本研究の目標は、トロホブラスト細胞から時期(着床期)特異的な発現をするIFNτ遺伝子の発現制御機構と、この遣伝子の発現によって誘導される母体側と胚側の遣伝子群を明らかにすることによって、受胎の認識、胚の接着、浸潤から初期胎盤の形成までの理解を深めることにある。1年目は以下の項目を達成した。 (1)ヒツジ胚インターフェロン(IFNτ)は、転写因子Cdx2によりトロホブラスト細胞特異的な発現が制御されていることを見出した。しかし、Cdx2の強勢発現だけでは、非トロホブラスト細胞をトロホブラスト細胞様に変換することはできなかった(発表論文参照)。現在、脱アセチル化阻害剤や脱メチル化剤の組み合わせで実験中。 (2)ヒツジ子宮内における胚仔の接着は、子宮上皮細胞の細胞外基質フィブロネクチン依存的に上昇することを示した(発表論文参照)。 (3)日本全薬工業(ゼノアック)との共同研究により、カイコでの組換えインターフェロン・タウ発現系を樹立した。 (4)フランス農業研究所(INRA)のレナード博士(Dr.Jean-Paul Renard)やビュー博士(Dr.Isabelle Hue)らと、ウシ・インターフェロンと着床過程の制御で共同研究を樹立した。 (5)当初の計画であったアメリカ農務省との共同研究は、クリステン博士(Dr.Ronald K.Christenson)の退職とともに17年目にして終了した。そこで、妊娠認識物質探求の草分けである米国テネシー大学のガドキン博士(Dr.James D.Godkin)との共同研究を樹立した。実際、昨年の11月にはテネシー大学の実験農場で、ヒツジ胚の採材(サンプリング)を行い、クロマチン免疫沈降などIFNτ遺伝子のアセチル化度やメチル化度を検証した。 (6)インターフェロン産生能を有するウシ・トロホブラスト細胞株[BT-1(岩手大学 橋爪一善教授)とCT-1(米国フロリダ大学Alan Ealy博士)]を取得し、IFNτ遺伝子発現制御機構の解析を始めた。 (7)産業動物の幹細胞バンクを設立した米国カンザス州立大学・畜産獣医学部のデービス博士(Dr.Duane Davis)から、ウマとウシの幹細胞の供与をうけた。 (8)ウシ胚のハッチング前後RNAを独立行政法人農業技術研究機構・九州沖縄農業研究センター・高橋昌志博士から供与を受け、DNAマイクロアレイ解析を行い、ハッチング(孵化)特異的に変化する遺伝子群約200個を同定した。 (9)テネシー大学での採材によるデータを2007年7月に行われる国際繁殖学会(Society for the Study of Reproduction)にて発表する。
|