研究概要 |
Sense鎖の両末端5ヌクレオチドを2'-OMe4'-thio体に置換した21mer siRNA(MeS)(ApoB標的)および,対照として未修飾(U),天然型2'-OMe体(MeO)修飾,スクランブル体(S)のsiRNAを肝臓指向性SNALP(リポソーム)に搭載し(1.25mg siRNA/Kg)C57BLマウスに尾静脈注射し,48時間後ApoB mRNA量および,血中コレステロール量を測定した。Uは約40%のノックダウン率を示したが,MeSおよびMeO修飾siRNAは約80%のノックダウン率を示した。この時,修飾siRNAは血中コレステロール量も有意に減少させた。一方,自然免疫の活性化によるIL-6およびIFN-α量は,投与後6時間でスクランブルおよびUでは高値を示したがMeSやMeO修飾siRNAでは極めて低値であった。従って,MeSを含むsiRNAはin vitroのみならずin vivoでもmRNAのノックダウン活性を示し,自然免疫を活性化しないことが明らかになった。一方,多くのがん細胞で過剰発現しているmiR-21(マイクロRNA)に対するアンチセンス分子(AMO)を未修飾(U),2'-OMe体(MeO)または4'-チオ-2'-OMe体(MeS)フル修飾22merを合成し,HeLa細胞を用いて機能抑制効果とその持続性を測定した。その結果,MeS-AMOは経時的に抑制効果が増強し,48時間後でもMeO-AMOの約4倍強い活性を示した。リポソームがエンドサイトーシスで細胞内に取り込まれた後,核酸医薬が細胞質へ脱出できなければエンドソーム中で分解される。そこで,新規pH応答性脂質YSK05を開発しMEND脂質膜に組み込み,従来のカチオン性MENDとsiRNAのノックダウン活性を比較したところ,YSK05を含むMENDは約100倍高い活性を示した。
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