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2009 年度 実績報告書

足場依存性・非依存性細胞増殖の分子機構

研究課題

研究課題/領域番号 18109003
研究機関東京大学

研究代表者

岡山 博人  東京大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (40111950)

キーワード癌 / 細胞周期 / シグナル伝達 / タンパク分解 / チェックポイント
研究概要

当研究は、足場依存性・非依存性S期開始および進行の制御機構、すなわち発癌機構の根底機構の解明を目指すものである。今年度は、細胞周期開始を制御する足場シグナルの伝達経路の解明に突破口を開く重要な知見が得られた。
これまで幾多の研究にもかかわらず、細胞外マトリックスタンパクへの細胞の接着、すなわち足場の存在のシグナルが、どのようにして伝達され、どのようにしてS期進行を制御しているかに関しては、ほとんど未知であったと言っても過言ではない。今回、足場が消失した状態の細胞で、家族性良性腫瘍の原因遺伝子であるTsc2の機能を消失させると、足場消失に伴い発現が消失していたG1期細胞周期因子の発現が回復するとともに、S期開始に重要な役割を果たしているCdk4及びCdk6の活性が保持されること、それに伴い、サイクリンA及びCdc6の発現が回復し、その回復には、これらのG1サイクリン依存性キナーゼの活性化にるこれらの遺伝子の転写誘導と、同時に転写誘導されたEmilがCdh1-APC/Cユビキチンリガーゼを抑制し、その結果これらの因子の分解が抑制されるためであることが判明した。加えて、足場消失に伴い、Tsc2の下流因子であるmTORC1の活性が消失することも見出した。さらに、Tsc2の機能消失によって活性化されたCdik4/6の活性はmTORC1を抑制するラパマイシン処理によって抑制されることを見出した。以上の結果から、従来増殖因子及びエネルギー代謝のシグナルを受け翻訳制御を行うことが知られているTsc2-Rheb-mTORC1経路が、足場シグナルを受け、S期開始に重要な役割を担うサイクリンD依存性キナーゼの活性制御にもかかわっている可能性が浮かび上がった。

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公開日: 2011-06-16   更新日: 2016-04-21  

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