研究課題/領域番号 |
18109008
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
金子 周一 金沢大学, 医学系研究科, 教授 (60185923)
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研究分担者 |
本多 政夫 金沢大学, 医学系研究科, 助教授 (00272980)
篁 俊成 金沢大学, 医学系研究科, 助教授 (00324111)
中本 安成 金沢大学, 医学部附属病院, 講師 (40293352)
中沼 安二 金沢大学, 医学系研究科, 教授 (10115256)
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キーワード | ゲノム / 発現制御 / 肝臓 / 栄養 / 生活習慣病 |
研究概要 |
糖尿病・肥満症・高脂血症・高血圧といった過栄養が関連する生活習慣病の成立の基本にインスリン抵抗性の増強があると考えられている。本研究の初年度は、過栄養状態における肝臓機能の破綻をさぐるため中心病態としてのインスリン抵抗性と肝臓の関連を研究し以下の成果をおさめた。 2-1.肥満や糖尿病に見られる肝臓の脂肪化とインスリン抵抗性には密接な関連があることを示した。 2-2.インスリンの抵抗性と脂肪肝炎の肝病変悪化には密接な関連があり、インスリン抵抗性を改善させる薬物によって肝病変も改善することを、世界ではじめて実験的に示した。 2-3.インスリン抵抗性および糖新生は、肝臓のミトコンドリアにおける酸化的リン酸化の経路の亢進と密接に関連している可能性を明らかにした。 2-4.2型糖尿病の病態を形成する肝臓由来生理活性分子を探索した。 以上、本年度は、肥満や糖尿病に見られる肝臓の脂肪化とインスリン抵抗性には密接な関連があることを示した。世界ではじめてインスリンの抵抗性と肝病変悪化には密接な関連があり、インスリン抵抗性を改善させる薬物によって肝病変も改善することを実験的に示した。また、2型糖尿病患者の肝臓が、ヘパトカイン分泌、およびミトコンドリア代謝パスウェイを変えることによりインスリン抵抗性を高め、2型糖尿病の病態を形成している可能性を明らかにした。過剰なエネルギー摂取に対する代償として生じる肝臓への脂肪蓄積は、ヒトにおいても遺伝子発現にダイナミックな変化をもたらしている。そのような過栄養への適応が、代謝異常に促進的、保護的、いずれに働くのかを理解すること、そして、肝臓-脂肪組織-骨格筋間の臓器間ネットワークを制御する病態形成ヘパトカイン、あるいはOXPHOSを制御する上流の鍵分子を同定することが重要であると考えられた。
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