研究概要 |
過栄養状態における肝臓の変化を明らかにすることによって新たな肝臓病の疾病概念を確立するとともに、肝臓機能の破綻によって生じる栄養性肝代謝異常症の診断および治療法開発の基盤となるべき研究を行っている。本年度は5年計画の3年目にあたる。本年度の成果を列挙した。 1)肝臓における包括的発現遺伝子解析 200例に及ぶ2型糖尿病患者の肝組織を用いて包括的な発現遺伝子解析を行い、遺伝子発現情報をデータベース化した。 2)肝臓における包括的タンパク解析 2D-DIGE、PMF法にてタンパクの発現情報を整備し報告した(Protein J 2008, Biochim Biophys Acta 2008)。 3)肝臓における脂質の解析 脂質含量、脂質組成等を測定する肝生検材料の収集と測定法を確立した。 4)肝病理組織所見 発現遺伝子情報を有する肝組織を解析し、脂肪化、線維化、炎症の有無をスコアー化した。 5)肝臓における基本的な遺伝子情報の解析 肝臓における時計遺伝子の発現、micro-RNAの発現解析を行った(Diabetologia 2009 Hepatology. 2008)。 6)糖尿病を有する患者の肝臓における発現遺伝子の解析 糖尿病を有する患者の肝臓における遺伝子プロファイルは肥満が加わることによってさらに大きく変動した(Obesity 2008)。 7)食事の脂質が及ぼす肝臓への影響 脂肪を摂取することによって肝臓の脂肪化・炎症は顕著となり、酸化ストレス変化がインスリン抵抗性に先立っていた(Metabolism 2008)。 8)血液を用いた診断法 企業との共同研究によりメタボリックシンドロームに特化した診断DNAチップが市販された。糖尿病(Diabetologia 2009)、心筋梗塞、がんに対する血液を用いたDNAチップ診断が可能であった。
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