研究課題/領域番号 |
18109009
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研究機関 | 国立精神・神経センター |
研究代表者 |
山村 隆 国立精神・神経センター, 神経研究所疾病研究第六部, 部長 (90231670)
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研究分担者 |
荒浪 利昌 国立精神・神経センター, 神経研究所免疫研究部, 室長 (60435724)
三宅 幸子 国立精神・神経センター, 神経研究所免疫研究部, 室長 (50266045)
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キーワード | 多発性硬化症 / バイオマーカー / NK細胞 / CD11c / クラスタリン / NR4A2 |
研究概要 |
多発性硬化症(MS)は中枢神経系の自己免疫性脱髄疾患であると考えられている。代表研究者は近年CD11cが一部のMS患者NK細胞で高発現し、再発率と関連すること(J.Immunol.2007)や、末梢血T細胞のマイクロアレイ解析により、MSが細分類される可能性を示している(J.Neuroimmunol.2006)。本研究の目的は、MSの診断、病態把握、予後推定などに有用なバイオマーカーを確立することである。このため、(1)NK細胞CD11cのバイオマーカーとしての確立および(2)MSの病態や再発に関連する新規遺伝子の探索、を行なっている。(1)に関しては、個々の患者毎にCD11c発現量の経時的変化を認めると共に、CD11c発現増加とNK細胞の減少の関連を見出した。さらに患者NK細胞マイクロアレイ比較で、抗アポトーシス機能を有すると報告されているクラスタリン(CLU)遺伝子発現がCD11c高発現NK細胞で著名に減少していることを見出した。CLUに対するsiRNAでCLU発現を抑制すると、培養後のNK細胞数の有意な減少が認められたことから、CLUがNK細胞において抗アポトーシス機能を担っていると考えられ、NKK細胞CD11c発現増加、頻度減少、CLU発現減少が、MS病勢の増悪を示すマーカーとして有用であると考えられる。(2)については、MS患者T細胞を再発時と寛解期で比較し、分子ネットワーク解析から、再発におけるNF_<-K>Bの重要性を示した(Dis.Markers 2008)。また、MSのT細胞で著明な発現亢進を示す遺伝子としてNR4A2を報告したが(Neurobiol.Dis.2005)、今回炎症性サイトカインの産生を促進する転写因子であることを明らかにした(PNAS2008)。
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