研究課題
本年は、自然修復が不可能な骨欠損を促進する新規のデリバリーシステムとしてコレステロールプルランを用いたナノゲルの検討を行うと共に、現在、BMPの骨修復に際しては、特に霊長類においては多量を要する問題がある事から、新たな非蛋白性の骨形成促進因子を用いてBMP量を低減可能な新たなコンパウンド療法の検討を行った。すなわち、頭頂骨における自然修復が不可能な骨欠損に対し、コレステロールプルランに一分子あたり、一分子のBMP2を取り込むと共に、円盤状の成形を行い骨形成の明らかな促進因子であるプロスタグランディンの4つのサブタイプの受容体のうち、EP4に特異的なアゴニストである化合物を用い、低用量のBMPと同時にナノゲルに取り込む事によりBMPの骨形成の活性を強化する事に成功した。本研究においては、BMPとEP4アゴニストとの共存により、頭頂骨の形態が、無傷の反対側の頭頂骨と同じ形態に形成され、骨再構築において形態系形成シグナルの存在が推察された。さらに、BMPによるこの作用は、スマッドのリン酸化を検出する免疫染色に基づく検討により、BMPのシグナルの増強である事が示された。加えて、BMP応答配列を持つルシフェラーゼアッセイにより、BMPとEP4の相互作用が転写性の制御に基づく事が示され、その結果としての骨芽細胞としての分化の指標である、アルカリフォスファターゼの活性を指標とした検討により、BMPとEP4Aの相互作用が最終的には、骨芽細胞分化を制御する事が明らかとなった。さらに、デリバリーシステムとしての、ナノゲルの担体は、周囲における細胞増殖を亢進させ、その後に分化形質としてのコラーゲン等の細胞外基質の分泌と石灰化により、骨の形成は、ナノゲルにより正常の形態を再構築する事が見出された。以上の結果は、本研究の目的とする新たな骨再構築における、ナノサイエンスの応用の成果が確立されたものである。
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