骨形成のメカニズムとして骨芽細胞の制御に関わる新たな因子を骨の微小環境に着目し、探索した結果、オステオポンチンやCIZ のごとく細胞の接着及びその転写の制御に関わる分子が副甲状腺ホルモンのシグナルと相互作用することを見出し、さらに骨形成の根幹的なサイトカインであるBMPの活性制御に関わるANA(Abundant in Neuroepithelium Area)及びCnot 7を見出し、加えて成熟骨芽細胞の分化を規定する因子群としてSchnurri-2が存在し閉経後骨粗鬆症のモデルにおいてもその欠失により骨量を保持することを発見した。これらの成熟骨芽細胞の遺伝子発現制御はメチル化を伴うエピジェネティクスにより制御されること、さらには神経系の制御とのリンクを司るメカニカルストレスと交感神経の両者に関わる分子群としてM-CSFやMCPが副甲状腺ホルモンの下流で機能することを見出した。これらのニッチに関わる分子の制御のメカニズムをさらに骨の再生治療に向けたナノテクノロジーに応用する新規の担体としてコレステロールプルランが低用量のBMPにも関わらず新たなプロステグランディンE2の受容体の内、骨芽細胞に特異的に発現するEP4のアゴニストの存在下では通常修復し得ない骨欠損を骨基質の充分な形成の下に回復し、そのメカニズムとして骨芽細胞の分化の指標としてのアルカリフォスフォターゼの発現をもたらすBMP Response Element(BRE)にターゲットを持つ転写によって推進されることを見出した。以上の結果は本研究の目的とする骨形成メカニズムとしてのニッチを分子的に解明すると共に、コレステロールプルランを主体とした治療への応用基盤のナノサイエンスの確立が遂行されたものである。
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