研究課題
本研究は、1)食嗜好に関与する味細胞-味神経間の情報伝達とその情報ライン形成のメカニズムの解明、2)食嗜好変化に関与する内因性物質の味覚修飾作用とその機序の解明、3)ヒトの甘味感受性と血中レプチン濃度との連関の解析、その正常者、肥満者との比較、甘味受容体など関連分子の遺伝子多型性との相関関係の解明、さらには、4)ヒト味覚受容体遺伝子導入人工味細胞の構築とアミノ酸変異体の応答解析を行い、食の調節情報としての味覚の受容・認知機序の解明と、肥満、高血圧などと味覚感受性の連関を解析し、味覚健康科学とも呼ぶべき新たな学問体系の創成を目指す。その結果、1)では、甘味応答味細胞の約50%がグルマリン感受型(GS)で、残りの50%が非感受型(GI)であることが判明し、甘味応答味神経におけるGS/GIの2群の分類と一致する、すなわちGS/GI味細胞はGS/GI味神経線維に選択的に情報伝達していることが示唆された。また、Gustducinの発現細胞が増加したマウスのGS神経線維数が増加することから、GSとgustducin発現性の連関が示唆された。2)においては、免疫組織化学検索により、AT2受容体の発現は少なく、主にAT1受容体がI型味細胞に発現していることが判明し、アンギオテンシンIIによる塩味応答抑制と甘味応答の増大が、味細胞間コミュニケーションにより起こっている可能性が示唆された。3)においては、健康成人の血中レプチン濃度と甘味閾値は朝低く夜高い類似の概日リズムをもち、食事制限により起こるリズムの位相シフトも両者は同調すること、肥満者ではその概日リズムが不明瞭になること、さらに肥満者のうま味応答閾値が健康成人より高いことが判明した。4)においては、HEK細胞におけるヒトT1R1/T1R3受容体の再構築系を用いた解析により、Tas1r1-372Tの変異がグルタミン酸高感受性受容体を形成し、Tas1r3-757Cが低感受性受容体を形成すること、さらに前者の変異には人種差があり、中国人や日本人などアジア人に多いことが判明した。
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