研究課題/領域番号 |
18200018
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
開 一夫 東京大学, 大学院情報学環, 助教授 (30323455)
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研究分担者 |
石黒 浩 大阪大学, 大学院工学研究科, 教授 (10232282)
今井 倫太 慶應義塾大学, 理工学部, 助教授 (60348828)
板倉 昭二 京都大学, 文学研究科, 助教授 (50211735)
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キーワード | 心の理論 / 認知神経科学 / 発達科学 / 認知科学 / アンドロイド |
研究概要 |
本研究で取りあげている3つの具体的研究項目: 【研究項目1】事象関連電位(ERP)を用いたロボット(人工物)とヒトの発達的認識過程の研究 【研究項目2】人型ロボットやCGをアバターとした母子間相互作用場面におけるNIRS脳活動計測 【研究項目3】「ヒト」・「ロボット」・「対象物」の3項関係に基づく相互作用の研究 において、平成18年度は、【研究項目1】および【研究項目2】について実験環境の構築と成人を対象としたEEG・NIRS脳活動計測を中心に研究を実施した。【研究項目1】では、ヒトと人工物(ロボット)の外見的な違いが脳内でどのように反映されているのかを検討するため、ヒトCG刺激とヒューマノイド型ロボットCG刺激を用いたERP実験を行った。実験の結果、ヒト刺激ではERPのN170成分に倒立効果が見られたものの、ヒューマノイドロボットのCG刺激では、倒立効果は見られなかった。この結果は、少なくとも成人では、比較的早期の脳内処理過程でエージェントの外見的違いが処理されていることを示唆している。今後は、乳児でもこうした違いが見られるかどうかを同様の実験刺激を用いることで明らかにしていく。 【研究項目2】に関しては、実験環境構築・実験デザインの確立のための予備的実験として、アンドロイドロボットをアバターとしてコミュニケーションを行う前後での、アバターの操作者の脳活動をNIRSを用いて計測した。被験者数が十分でないため詳細な議論はできないが、コミュニケーションにおけるの前後で前頭前野の脳活動が変化することが示唆されている。今後は、被験者数を増やすとともに、他の脳部位に関しても詳細に検討する。また、乳児実験に関しては、母子間相互作用場面における2個体同時EEG計測を行い、実験テザインにおける問題点を整理した。技術的な側面として、母側のモーションアーチファクトをどうキャンセルするかが今後の課題である。
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