研究課題
平成19年度は、麻疹が大学構内で流行したため、一時的に若年齢の乳児実験を中断せざるおえない状況になった、一方で、高月齢の乳幼児と成人に関する研究を行い、興味深い知見を得ることができた。まず、原初的コミュニケーションにおいて特徴的な「社会的参照行動」に関して、視線計測装置を用いた実験を行い、10ヶ月乳児と13ヶ月乳児の参照行動に違いを発見した。ポジティブな表情(ポジティブ条件)とネガティブな表情(ネガティブ条件)で新奇な対象に注視しながら発話している映像を刺激として、10ヶ月児と13ヶ月児を比較した結果、情報提示中注視行動は、両月齢共に、他者の表情を最も注視していたが、13ヶ月児においてのみ、否定的(恐れ)な映像情報が与えられている際、そのターゲットに対する注視時間が短くなるという結果が得られた。この結果を踏まえ、発達的変化をさらに詳細に分析するため、EEGを用いた実験に着手している。これまで20名を超える7ヶ月児からデータを取得している。また,成人に関しては、ATRで開発されたアンドロイドロボット(Geminoid)実機を用いて、アンドロイドを遠隔操作している成人の脳活動を計測する実験に着手した。この実験では、操作時間の増加にしたがって、アンドロイドに自己身体が投影されるかどうかを頭頂部、前頭部を中心に活動計測を行って検討している。これまでのところ、視覚的なフィードバックの違いによって頭頂部の活動に変化が見られている。今後も継続して実験を行っていく。
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