研究概要 |
文化財データ解析の研究として、以下のような文献学、絵画、考古学の領域の研究を行った 1.文献のデータ解析の研究としては、『法華経』27巻の成立順序推定ために必要となる『八千頌般若経』『法華経』『十地経』のデータベース(約20万語)を構築し、そのデータベースを用いた『主要梵文大乗経典語彙用例総索引』全6巻(3973ページ)を刊行した。 2.絵画のデータ解析の研究としては、浮世絵の美人画や役者絵における顔の描き方の数量分析を試みた。特に写楽の役者絵に関して、女形と立役の描き方の差異を計量的に明らかにした(アートドキュメンション学会、「高次元データの推測理論の開発と応用」研究集会発表) 3.考古学のデータ解析の研究としては、古代寺院の金堂の平面形状の分析から、6,7世紀建立の寺院と8世紀建立の寺院の平面形状の差異を分析し、その結果に基づき建立時期が明確でない寺院の建立時期の推定を試みた(日本情報考古学会発表) 4.文化の領域のデータ解析に関する教育方法についての研究を行った(統計関連学会発表) また4年間の研究のまとめとして、平成22年1月28,29日に国際シンポジュウム「データ科学の新領域の開拓-文化遺産情報のアーカイブと文化の分析」を開催した。トルコ、ウズベキスタン、モンゴル、フランス、中国及び日本の研究者から以下の講演を含め計14件の講演があった。 ・文化遺産情報の資源化と共有化 ・中国敦煌・莫高窟の保存修復活動のためのデータベース開発 ・中央アジアを中心とした遺跡GISの理念と実践 ・カンボジア・アンコールワットとアンコール王朝期文化遺産の情報資源共有化
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