本研究は人工心臓の流れ状態が生体の末梢循環にどのような影響を及ぼすかを調べ、最適流れ状態を確定することを目的としており、そのための人工心臓の改良、観察プローブの開発・改良およびこれらを用いた動物実験が研究の主体となる。本年度は以下の研究成果を得た。 1.微小循環観察プローブの改良 ・観察プローブに足場を組み込むことで長期間・安定した視野を確保することに成功した。 ・観察対象別に倍率の異なる3種類(光学倍率0.4/3.0/6.0)の観察プローブの開発を行った。 ・倍率を上げるほど微細な血管を観察することが可能であるが、逆に視野範囲が小さくなること、デバイスサイズが大きくなることが、今後の課題となった。 2.動物実験 ・波動型完全人工心臓をヤギに埋め込んで最長153日生存させることに成功した。 ・波動型完全人工心臓埋め込みヤギにおいて拍動流と連続流駆動を行い、生理的反応を調査した。 ・微小循環観察プローブの足場に微小血管が新生する様子を経時的に観察することができた。 ・微小循環観察プローブは90日以上の長期使用においても安定して生体情報を取得可能であった。 ・微小循環観察プローブによって、生体の血圧変動に起因する血管の収縮・拡張をリアルタイムに観察し、記録することができた。
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