研究課題/領域番号 |
18200034
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
岩田 博夫 京都大学, 再生医科学研究所, 教授 (30160120)
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研究分担者 |
興津 輝 京都大学, 医学部, 助教 (10378672)
寺村 裕治 京都大学, 工学研究科, 助教 (10365421)
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キーワード | 薄膜 / 膵島 / ウロキナーゼ / 糖尿病 / ポリエチレングリコール / ポリビニルアルコール / カプセル / アルキル鎖 |
研究概要 |
膵ランゲルハンス氏島(膵島)移植の直後に、門脈内での血栓形成や補体系の急激な活性化が起き、この反応がさらに複雑な炎症反応を誘発し、これらが原因となって移植した膵島の多くが失われると報告されている。昨年来より研究してきた細胞表面修飾法を用いて、膵島細胞表面にPEG-脂質またポリビニルアルコールを介して線溶系酵素ウロキナーゼの固定化を行った。固定化されたタンパクの存在位置を共焦点顕微鏡で観察したところ計画したように膵島表面に局在していることを明らかにした。さらに固定化ウロキナーゼの活性をフィブリンプレートアッセイで評価したところ、24時間後にはフィブリンプレートに大きな透明窓が形成され、固定化後もウロキナーゼは線溶活性を維持していることも明らかになった。次年度にin vivo評価を行う予定である。 ウロキナーゼの固定化は移植直後に機能を有すれば目的が達成されるが、膵島表面に形成された高分子層に免疫隔離能を期待する場合には、出来る限り長期間薄膜が存在することが望まれる。予期に反してカプセル膜の膵島表面での安定性は悪く、比較的早期に表面から脱落してしまった。種々の高分子材料を用いて薄膜が脱離する機構について検討を加えたところ、PEG-脂質ではアルキル鎖長を長くする、また、ポリビニルアルコールの側鎖にアルキル鎖をつけて多点で細胞膜と相互作用させると修飾高分子の細胞膜上での滞在期間は長くなる。しかし、その効果は2,3日程度であり、さらに工夫を行う必要がある。次年度へ持ち越した課題である。
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