研究課題/領域番号 |
18200035
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研究機関 | 昭和大学 |
研究代表者 |
岡井 崇 昭和大学, 医学部, 教授 (40126016)
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研究分担者 |
市塚 清健 昭和大学, 医学部, 講師 (00338451)
関沢 明彦 昭和大学, 医学部, 准教授 (10245839)
松岡 隆 昭和大学, 医学部, 助教 (20349111)
梅村 晋一郎 東北大学, 工学部, 教授 (20402787)
九島 巳樹 昭和大学, 医学部, 准教授 (80161628)
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キーワード | HIFU / 動物実験モデル / 胎児閉塞性尿路障害 / TTTS / 胎児治療 |
研究概要 |
[目的]胎児は羊水中に存在するため超音波の透過効率がよく、HIFUは子宮内または胎児内の任意の場所で組織の熱変性を引き起こす。従来の胎児治療(子宮腔内に器具を挿入)で問題となっている破水や感染などの出生児の予後を左右する合併症の併発を避けることが出来る。(1)対象疾患として、胎児水腎症を選び、HIFUを用いて胎児治療を行うことが可能かどうか基礎動物実験を行うことを目的とした。平成19年度では児娩出後に照射を行ったが、本年度ではより臨床応用に近づけるため、胎内で胎仔に対し、HIFU照射を行った。(2)TTTSの治療では胎盤表面の吻合血管を胎児鏡下でレーザー焼灼するが、本研究ではHIFUで表面血管の焼灼が可能かどうか検討した。[方法](1)妊娠25日齢のJWラビットを麻酔下で開腹し、子宮および卵膜を切開した後、胎仔外尿道口を子宮外に露出させ4-0ナイロンで結紮し、さらに人工羊水として生理食塩水2ccを注入し卵膜、子宮を縫合後、閉腹した。妊娠28日にイメージング用プローブ(8MHz)を結合させたHIFUトランスデューサー(2.8Hz)を用い、胎児腹部を描写し、照射強度は8kw/cm2で、照射時間を1クール60秒として胎児下腹部にHIFU照射を行った。(2)娩出後のヒト胎盤を脱気水中に入れ、母体、胎児面の両面2方向から別々に超音波ガイド下で表面血管を描出し、HIFUを照射した。200Wの出力で20秒1クールで行った。[結果](1)下腹部は数クール照射で径1mmの瘻孔下腹部に作製できた。周囲に出血は認められなかった。(2)数クール照射で表面血管の閉塞が観察された。[結論]HIFUを用いて臨床応用可能な超音波強度でラビット胎仔の下腹部に人工瘻孔を作製することができた。また胎盤表面血管の閉塞も可能であった。本方法を用いれば胎盤位置に左右されず、非観血的手技により胎児人工瘻孔を作製できる可能性が示され、シャント術に代わる胎児腔水症・閉塞性尿路疾患の治療になり得ることが示された。また胎児鏡下レーザー凝固術の代わりの治療にHIFUがなり得ることが示唆された。
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