研究課題/領域番号 |
18200037
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
関 和則 東北大学, 大学院・医学系研究科, 准教授 (20206618)
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研究分担者 |
半田 康延 東北大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (00111790)
荒井 陽一 東北大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (50193058)
中川 晴夫 東北大学, 病院, 講師 (80333574)
小倉 隆英 東北大学, 医学部, 助教 (10312688)
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キーワード | 電気刺激 / ボツリヌストキシン / 痙性麻痺 / 疼痛 / 神経因性膀胱 |
研究概要 |
本年度は以下の3点について成果を得た。 1) 上下肢痙性麻痺に対する治療 慢性期の痙性片麻痺患者10名の麻痺側上肢に行った併用治療について、その結果を日本リハ医学会および国際FES学会で発表した。電気刺激とボツリヌストキシンの併用治療は、慢性期であっても麻痺上肢に一定の機能改善をもたらすことが明らかとなった。また2名の麻痺側下肢に電気刺激とボツリヌストキシンの併用治療を、7名に電気刺激を用いた歩行訓練を実施した。さらに新しく開発した筋電駆動型電気刺激装置を用いた歩行訓練を試みた。電気刺激を用いた訓練が、通常の理学療法のみでは歩行不能な患者の歩行機能を改善することが明らかとなり、その概要を学術雑誌に掲載した。 2) 神経性疼痛・異常感覚に対する治療 本年度はボツリヌストキシン単独の治療によって、異常感覚・疼痛が改善するかどうかを検証するために、麻痺側上肢に異常感覚・疼痛を有する慢性期脳卒中片麻痺患者3名について、麻痺上肢前腕にボツリヌストキシンを施注し、非施注部位と比較した。異常感覚・疼痛の改善は十分ではないものの、知覚神経自動検査システムによる感覚閾値は施注部位で正常化する傾向がみられた。さらにデータの積み重ねが必要であるが、今後の展開が期待できる内容である。 3) 神経因性膀胱に対する治療 電気刺激単独では頻尿・尿失禁の改善が十分ではない神経因性膀胱患者1名で、内視鏡下に膀胱粘膜および筋層ヘボツリヌストキシン200単位を施注した。電気刺激も併用して経過観察中であるが、これまでは得られなかった無抑制収縮と尿失禁の消失、および膀胱容量の拡大を認め、難治性の過活動膀胱患者でも併用治療が症状の改善をもたらす可能性が示唆された。また術後の骨盤底筋群の強化に仙骨表面電気刺激が有効であることも確認された。さらに仙骨表面電気による脳磁図の変化も明らかになり、神経調整効果のメカニズムの一旦が解明された。これらについて学術雑誌への投稿と学会発表を行った。
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