研究課題
過度の疲労やストレスは、脳卒中や虚血性心疾患などの循環器疾患発症のリスクファクターであり、発症の背景として、血圧の上昇、内皮機能の低下、動脈硬化の進展、自律神経活動の変調が考えられている。10日間に及ぶ睡眠短縮と精神労働による負荷をかける実験系を構築し、その循環機能及びストレス関連ホルモンに及ぼす影響を検討した。実験前に口頭により説明を行った上で、本人から直接了解が得られた17名の男性を被験者とした。現実の労働-生活過程を模擬して、慢性疲労を操作的に発現させる実験を設定した。実験は、長時間・過密労働のモデルであり、週内の休日をスキッブして(休日出勤を模擬)、10日間の連続した夜間睡眠短縮による慢性疲労発現モデルとした。情報機器操作課題を実験タスクとして、実験途中から負荷を段階的に増大させ被験者を追い込む形で課題を行わせた。3日間の順応日と10日間の負荷日並びに4日間の回復日からなる合計17日間の実験期間の早朝と夕刻に、四肢血圧、全身脈波速度(PWV)、頸動脈増大指数(AI)を測定した。さらに10日間の負荷日前後に採血を行い、ストレスホルモン、神経伝達物質、疲労物質の候補の分析に供した。四肢血圧ならびにPWVについては、「朝方高く夕方低い」という、いわゆる日内変動が全ての被験者に認められ統計的に有意であった。介入による変化に関しては多くの被験者で系統的な変化は認められなかったが、1名の被験者で負荷日に増加、2名の被験者で低下が見られた。平均値では有意な変化が認められなかった。AIは他の測定項目と比較して日内変動が大きい傾向があったが、血圧やPWVと同様に介入による有意な変化は認められなかった。10日間の睡眠短縮と精神労働負荷に対する循環応答について、系統的な介入の影響を把握できなかった。
すべて 2007 2006
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